2014年3月21日金曜日

アメリカの大学新聞にも「アンネの日記事件」




うちの大学は小さいながらも、割と本格的な大学新聞がある。
紙面は全部で6面と少ないが、大学や地域で起きたローカルな出来事から、グローバルなニュースまで幅広く取り上げている。

月に1度ぐらいの割合で刊行されるので、カフェテリアに積まれているのを見つけると寮に持って帰る。それで朝はやく目が覚めてしまったときなどに読むのだ。


いつもはさして目に留まるような記事はないのだが、今月は違った。
グローバル面に、日本の「アンネの日記」破損事件が取り上げられていたのだ。アメリカの小さな大学の、しかもたった6面しかない新聞に取り上げられるのだから、よっぽど国際的に注目されているのだろう。


もちろん、事件は日本の右傾化と関連づけられて語られていた。犯人の動機は未だにわからないとは書いてあったものの、

日本政府の右傾化が、市民の中にも右翼団体の形成を促し、それらが事件を起こした可能性がある

と、まとめてあった。

しかし、一体何を根拠に、この事件を「右傾化」と結びつけているのだろうか。日本の報道もそうであるが、確たる証拠は何もない。
逆に言えば、この「右傾化」との根拠なき結びつけこそ、日本のナショナリズム勃興に対する国際社会の不安の大きさが現れているのではないか。


アメリカ人の友達に意見を求めても、日本人の僕に遠慮しているのか、なかなかはっきりとした意見を言わない。しかし、みんな日本の右傾化が進んでいることに関しては、事実だと思っているみたいだ。

アメリカの歴史教育において、日本は“パールハーバー”や“カミカゼ”など、狂信的なナショナリズムと結びつけられて語られている。このイメージも、日本に潜在的な国粋主義の気質があるのではないかという疑念を起こしている一因ではないだろうか。


ちなみに、右傾化と結びつけられた「アンネの日記」事件だが、これが日本で報道されるのと海外で報道されるのには天と地ほどの差がある。日本では、受け手が日本人や日本に住む外国人であるため、報道をわりと批判的に見ることができる。

「ニュースでこうは言ってるけど、実際自分は違うし、周りの人もそうじゃないよね」

そういう“実際”を知っているから、落ち着いた反応ができる。

しかし、海外ではこうはいかない。受け手は異国の外国人であり、“実際”の日本人を知らない。そのため、日本全体が右傾化していると受け取ってしまうのだ。こういう評価は、国際社会での日本の信用に大きく関わる。それは外交だけでなく、旅行者である我々にも降りかかってくる問題だ。

大事なのは、日本全体が右傾化しているわけではなく、それは安倍ちゃんや一部のネトウヨたちだけであり、冷静な人が大半だよということを海外にも知ってもらうことだ。

そして、そんな海外の大学にいる僕にできることは、ひとりの日本人として、このことを身をもって伝えることだろう。

「僕が実際に会った日本人は、右傾化を問題視し、自分の家族や友達はそうではないと言っていたよ」

そういう経験をしてもらうこと。それこそが、国際社会における日本の信頼を取り戻すことに繋がるのだと信じている。

確かに、こういう問題は僕が遠慮されたように、非常に議論しにくい現実がある。議論しようと思ってもできないことだってあろう。それでも、他にできることはある。すごく基本的なことだけど、“人に優しく”だ。メディアから得たイメージなんて、現実を前にしたら一蹴される。それは良くも悪くもだ。もしかしたら自分の作ったイメージひとつで、爆弾が落ちるか落ちないかが決まると、極端だけど、そう思っておく。

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